『名もなき復讐者 ZEGEN』がスタート!
主演・阿部進之介さん独占インタビュー
動画配信サービスU-NEXTとカンテレがタッグを組み、宝島社『このミステリーがすごい!』大賞の関連作品をドラマ化した『名もなき復讐者 ZEGEN』。裏社会で“女衒”と呼ばれるミステリアスな主人公を、阿部進之介さんが演じます。表現者の視点から、復讐心を描くことやドラマの見どころを教えていただきました。
「人間の内面は複雑で、そこが魅力にもなります。
これまでにない、人間らしいダークヒーローが現れました」
編集部:『名もなき復讐者 ZEGEN』は、「このミステリーがすごい!」大賞ドラマシリーズの第2弾。小説を原作とするドラマですが、どのような意識をもって役作りなどされましたか?
阿部:小説には活字を読んで想像するからこその、自分の中でイマジネーションが広がっていく面白さがありますよね。それを実際に映像化する時には、やっぱりまた違う表現が必要になると思うんです。そういう意味では、あんまり原作に引っ張られないように、映像化した時の面白さを表現できたらいいなと思って撮影に挑みました。ですので、今回は小説を読んでいません。
プロデューサーや監督が、作品の基本要素を落とし込んでくださっているので、僕はまた違う目線から役を作り、そのエッセンスを入れていけたらいいなという思いで演じていました。
編:『名もなき復讐者』というサブタイトルがついていますね。ご自身が企画・原案・主演を務められた今年公開の映画『デイアンドナイト』も復讐劇でしたが、これまで様々な人の心を繊細に表現されてきた阿部さんは、このテーマをどのようにお考えですか。
阿部:『デイアンドナイト』は復讐劇ありきではなく、まず善と悪について考え、それをどのように映画で表現するかと追及したところ、一番適した題材として復讐劇にしたという経緯があります。つまり、何がよくて何が悪いのか、その基準はどこにあるのか…。善悪について提起し、そのはざまにある人間の感情を描きたかった。
今回のドラマもそれに近い部分があります。復讐を遂げる時に、犯してはならない一線を越える。法的には絶対に許されないことです。しかし例えば、自分の家族が目の前でひどいことをされた時に、心の中だけでも「仕返しをしたい」と思うことすらダメなのか?と。それは感情の話ですよね。法律やモラルとは別のところにある、感情論としての善悪の判断基準について考えさせる内容になっていると思います。
編:ドラマは衝撃的なシーンからスタートします。女衒は冷酷な表情を見せますが、馬場ふみかさんが演じる李雪蘭(リ・シュウラン)など女性たちにはとても優しいですね。
阿部:これも、『デイアンドナイト』の制作段階で議論したことなんですけど、極端な例えですが、さっき人をあやめた人が、その帰り道で誰かを助けるかもしれない。そういうことも想像できると思うんですよ。そのような人間の複雑性というものが、人間の面白さであり、魅力にもなっているんじゃないでしょうか。そして、それを知った時に、「一辺倒に人を決めつけない」という考え方にもなれるのでは…と思うんですよね。
女衒には女衒なりの思いがあって、彼女たちを助けるし、暴力も振るう。そういう行動に対して、彼の中ではひとつ筋が通っているんですね。だから、ステレオタイプなダークヒーローではなく、そういう生き方も否定できなくなるような、彼の内に秘めた思いを観せられたらいいなと思って演じていましたね。ただ格好いいだけ、ただ強いだけ、ただ怖いだけ…というのではなく、観る人に奥行きを感じさせる人物を表現したかったんです。
編:とてもシリアスで影のある役やストーリーだと思いますが、現場の雰囲気はいかがだったんでしょうか?
阿部:いやぁ、和気あいあいとやっていましたよ(笑) 夜中の撮影で、しかもシリアスなシーンになってくるとピリッとした空気にはなりましたけど。基本的には、空き時間に馬場ふみかさんとくだらないことを話していました。杉本哲太さんもすごく気さくな方なので、たわいないおしゃべりを楽しんでましたね(笑)。
編:すると、気分転換しながらシリアスな演技を!?
阿部:やっぱり、ずっと気持ちを張りっぱなしだともたないなと思ったので、今回は意識的にそんな風に現場で過ごしていました。作品とは全く違う世間話をして(笑)
ドラマには多少コミカルなシーンもあるんですけど、基本的に僕はそういう要素を担当しないので。全然担当しないので(笑)。やっぱり、ちょっとオンオフの切り替えが必要でしたね。
編:女衒と阿部さんのギャップは?
阿部:まず、僕は法を犯しません(笑) そもそも僕は大阪出身ですし、性格的には明るい要素の方が多いとは思うんです。だけど、僕の中の本当に暗い部分だけを引っ張り出してきて、いろいろ誇張していくと女衒のようなタイプというか、そんな要素もなくはないですね。
編:人の複雑性でいうと、もしかしたら誰にでもあるかも?
阿部:そうですね。みんな自分のことって気づきにくいじゃないですか。役者の場合は、自分自身を見つめる時間が結構多いと思うんですけど、それでもやっぱり気づかないんですよね。他人から指摘されて初めて「あぁ、自分ってそうなんだ」と思うこともあるので。
だから気づいていないだけで、女衒のように闇の部分というか、思いの強い部分を皆さんも持っているかもしれませんよ。
編:登場人物の複雑な感情が交錯しながら、ストーリーは展開していくのではと推測しますが。見どころを教えてください。
阿部:人間ドラマはもちろんですが、背景にも注目していただけるといいなと思います。深夜枠なので、風俗店の雰囲気も可能な限り描いています。現実にある職業で、そこで働いていらっしゃる方もおられます。ストーリーは架空のものですけれど、その舞台やそこで生きる人々をできるだけリアルに表現する努力をしましたので、そこにも視点を持っていただけると嬉しいです。
編:いろんなものを背負っているように見える登場人物たちが、大変なことに巻き込まれていく予感がしてドキドキします。彼らは救われるのでしょうか?
阿部:いいお客さんですね〜(笑)そこを観ていただきたい! 女衒を含め、ドラマの中で一生懸命生きる人々が、これからどうなっていくのか。どこへ向かっていくのか!? ぜひ、最後まで見とどけていただきたいです!
<主演:阿部進之介プロフィール>
1982年2月19日生まれ。大阪府出身。2003年に映画『ラヴァーズ・キス』でデビュー。2019年公開の映画『デイアンドナイト』では企画、主演を務めて、話題となる。主な出演作品に映画『クローズZEROII』(09)、『十三人の刺客』(10)、『BADBOYS』(11)、『DOG×POLICE 純白の絆』(11)、『オー!ファーザー』(14)、『信長協奏曲』(16)、『罪とバス』(16)、『神さまの轍 -checkpoint of the life-』(18)、『栞』(18)、『アウト&アウト』(18)、『デイアンドナイト』(19)、『キングダム』(19)など。TVドラマでは「TAKE FIVE〜俺たちは愛を盗めるか〜」(13)、「軍師官兵衛」(14)、「信長協奏曲」(14)、「REPLAY&DESTROY」(15)、「下町ロケット」(15)、「BG〜身辺警護人〜」(18)など。今後の公開作に、2020年公開予定『Winny』がある。
取材・文/藤田房子
“U-NEXT”独占配信 × “カンテレ”地上波放送
2019年8月29日スタート!『このミス』大賞ドラマシリーズ第2弾
名もなき復讐者 ZEGEN
阿部進之介が裏社会に生きるダークヒーローを怪演!ヒロイン馬場ふみかは中国人役に初挑戦!そして、その偽装結婚相手に杉本哲太!
【夜の街を生きる男の復讐劇を軸に日本にはびこる闇を切り取るダークエンタテインメント】
港町で水産加工場を営む佐藤幸造(杉本哲太)は、ある日、自らを「女衒(ぜげん)」と名乗る男(阿部進之介)から川崎のマッサージ店で働く中国人女性・李雪蘭(馬場ふみか)との偽装結婚を提案される。雪蘭は中国にいる夫の治療費を稼ぐため、日本に出稼ぎに来て、女衒に斡旋されたマッサージ店で働いていた。幸造は思い悩みながらも女衒の提案を受け入れる。一方で、女衒は、妻を自殺に追い込んだ男達への復讐を続けていた。やがて、”最後の復讐相手”に辿り着いた女衒は、黒幕の正体と己の過去に直面する。そして、偽装結婚を続ける幸造と雪蘭にもそれぞれ転機が訪れ、顔も合わせたことのない二人の関係も徐々に変化を見せていく。壮絶な過去を持つ斡旋屋・女衒、夫のために出稼ぎをする中国人女性、見知らぬ相手と偽装結婚した中年男──三人の境遇や想いが交互に描かれ、復讐譚とメロドラマが並走していく。
【ドラマ1話】
中国にいる病床の夫の治療費を稼ぐために日本へ出稼ぎにきた中国人女性・李雪蘭(馬場ふみか)。彼女は夜の街で出会った女衒<ぜげん>と名乗る男(阿部進之介)に川崎のマッサージ店を紹介され、店長の直井(遠藤雄弥)や同僚の明菜(永尾まりや)に支えられながら懸命に働き始める。女衒は声をかけてきた女性に仕事を斡旋し、アフターフォローも欠かさないことで評判が高かった。ある日、女衒は港町で水産加工場を営む佐藤幸造(杉本哲太)のもとを訪れて…。
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【番組名】「名もなき復讐者 ZEGEN」
【出 演】 阿部進之介 馬場ふみか 高橋努 遠藤雄弥 永尾まりや 筒井真理子 杉本哲太
<配信&放送情報>
■尺・話数:1話30分×全8話 ■スケジュール:2019年8月29日(木)より放送・配信開始
■放送局:カンテレ8月29日(木)24:35~放送開始 毎週木曜日 24:25~24:55(関西ローカル放送)
■独占配信:U-NEXT 毎週金曜 10:00~配信スタート
公式サイト:ktv.jp/konomys